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『牙-KIBA-』 49~最終回:感想

2014-09-18
【49話】
・「母と子」。親子感動の再会、ハッピーエンドに向けてまっしぐら!、なんて展開になるわけありません。
もう本当にゼッドさんが可哀想で仕方ない回です。
必死に説得してようやくわかってもらえたのかと淡い希望を抱き始めた直後に「もうすぐできるからね。…もうすぐ、もうすぐアミルガウルは私のもの!」ですもの。
視聴者でさえドン引きなのでゼッドの心境を考えるといたたまれません。
しかも聞こうとして聞いたわけじゃなく、普通に聞こえるところでぺらぺらとサラの本心が駄々漏れになっているから救いようがない。
内容よりも聞こえるところでそんな話されること自体が辛いです。
ゼッドはいつも気丈なのに、このときばかりは絶望した表情が浮かんでいます。
その後も毒入りスープを笑顔で勧める母に、首絞めと不幸のオンパレード。
これが日曜朝8:30にプリキュアの裏で放送されていたなんて信じられないことです。

・この回は見てて泣きそうになります。
泣きそうになるシーンというと、普通はシチュエーションに感極まることが多いですが、この場合は違います。
ゼッドが可哀想過ぎて泣けてきます。あまりにも酷い。
「ノアでもタスクでも誰でもいいから、ゼッドがこれ以上悲しむ前にこいつ(サラ)を殺してくれ!」とさえ思ってしまいました。
なんでゼッドばかりこんな酷い目にあわないといけないのでしょうか。

・一度はもうどうにでもなれとアミルガウルを渡したゼッドですが、ロイアの説得で思い直しています。
ロイアの言っていることは正論だと思います。でも私はゼッドのしたことのほうを支持します。
理論上は可能でも人間には限界があります。ゼッドはもうこれ以上がんばらなくていいでしょう。
たとえ正しいことでもそれを今のゼッドに要求するのは酷なことだと思います。
もう楽にしてあげて…

・最後は少しだけ救われましたが、主に救われたのがサラのほうなのでいまいち納得がいきません。
サラにはゼッドが赤ん坊の頃の思い出があるけど、ゼッドには精神病院にいた頃と最近の最悪の思い出しかありません。
「そんな言葉で片付けられるわけねぇだろうが!」とキレなかったゼッドさんは偉いと思います。

・サラの回想といえば見返してみても時系列が不思議です。
ゼッドを産んだのはテンプラーに連れて行かれた後のことです。産んだ直後には正常な意識が残っていたのに、ゼッドが物心つく頃にはすっかり精神を病んでいます。
ゼッドが赤ちゃんの頃までは正気を保っていて、その頃にノアの家族と仲良くなったりしてたのでしょうか。
ゼッドに何も残さなかった点から考えると、突然発症したんでしょうかね。次第に病んでいったのならば手紙やお守りを残していくほうが自然に思えます。

・ゼッドとサラでお腹いっぱいなのですが、それ以外にも盛りだくさんです。
デュケムさんも生きてたと思ったら死にに行って大忙しです。
デュケムさんとの戦闘ではゼッドが久しぶりに爆殺を披露。けが人相手でも容赦ありません。
死に際は武人ぽく決めてみたのものの、母親のことで頭がいっぱいのゼッドは無反応で去っていく。
デュケムにとってゼッドの母親のことなんて知ったこっちゃないし、ゼッドにとってはデュケムのこだわりなんてどうでもいい、このドライな感じが牙らしいと思います。

【50話】
「それより儂はタスカーなる者の力が見てみたい!」
最終話一歩手前でまさかのクソジジイのダメ押しホームランです。
この展開には度肝を抜かれました。もうクソジジイだってことは十二分にわかっているのに、更に強烈な一撃が飛んできました。
ストーリー展開とか関係なく、キャラが生き生きとしています。人間に役割なんてないのだから、生きてる限りそのキャラらしく動いていくのは当然です。素晴らしいことですよ、まったく。
その後も「なにが救世主じゃ。儂が人生をかけて追い求めてきたのはこんなものじゃったのか!?」と逆ギレです。
こんなもののためにどれだけの人間が犠牲になってきたのでしょうか。
「こんなジジイのために…」という台詞を言いたい人はその何百倍もいるに違いありません。

・ノアが力を求めていた理由が明らかになりました。
最初はゼッドを助けたい、そのために力がほしいと思っていたはずが、いつの間にか違った目的のためにすり替わっていたのでした。
これはサラやヘリックと同じであり、恐らくヒューも同じだったのでしょう。誰もがみな力に溺れ、飲み込まれてしまいました。
ノアに関しては、ゼッドがカームにいた頃に気づいて「そんなことない。充分助けてもらってる」と伝えていればこんなことにならなかったような気もしますが、そう上手くはいかないでしょうね。
ノアの願望自体が自身の身体へのコンプレックスと深く関係している以上、どこかでその思いが爆発するでしょう。
といってノアの病気がなかったら、恐らくゼッドとの友情もあり得なかったでしょう。
どこか一つ変えれば上手くいく問題ではないと思います。

・最後までわからなかった点の一つが、タスク人がかぶっている仮面です。あれなんだったんでしょう?
重要な場面になるとみんな外しだすし、よく仮面が意味する「個人の人格の否定」というのもエゴ丸出しのタスク幹部には当てはまりません。
見てる限りだと雰囲気作りにしか見えないのですが、作中だとどういう意味合いがあったのでしょうね?
モーリマみたいにタスク人の血のせいで奇形が多いからとか理由があったのでしょうか。

【最終回】
「ジジイよく言うぜ。おふくろをダメにしちまったのは、てめぇのせいじゃねえか!」
このシーンは、「よくぞ言ってくれました!」という思いでいっぱいでした。
ここまで見てきた視聴者ならば誰もがゼッドの感情とシンクロできるでしょう。
これほど感情移入できるシーンを私は他に知りません。
ジジイの正論を感情のこもった一喝で吹き飛ばす力強さがたまりません。
倒すべき相手としっかり決着をつけてくれるこの爽快感。51話の厚みが効いています。

・もう一人の主役のギンガさんも印象的です。
大ピンチにかつての強敵を連れて颯爽と登場。「とことん抵抗してやる」と勝ち目がないと自覚しているのに戦いに駆けつけた男気に痺れます。
ギンガもゼッドと並んで力に溺れなかった者の一人なんですよね。
復讐を第一に考えながらもヘリックを止めたり、ウルバークスの発展に協力したり非常に前向きな人物です。
そんなギンガが最後に駆けつけてくれたのはゼッドの思いを肯定してくれるように感じます。

・エクスマキーナもロケットブースターや胸部ビーム砲など無駄にメカニカルでかっこよかったです。
個人的にはアミルガウルvsタスカーよりも好きです。

・そしてラスト。
ゼッドが借り物ではない自分の力を使って、初めてその先を掴もうとするシーンが印象的です。
それが本来あるべき力のあり方なんでしょうね。
ノアもヒューも力に飲まれてきた人たちはみんな、過去の何かを否定するために力を使おうとしていました。
力は壁を壊すために有り、その先に踏み出していく意思こそが本当の強さなのだと言いたいのだと思います。

・しかしラストだけは納得がいかないものがあります。
ノアは突然廃人になっているし、ゼッドはアミルガウルと融合して見知らぬ世界を彷徨っているし、全然これで良かった!と思えません。
ノアの病状といい、内容が飛躍しすぎて理解がついていけません。
最後にノアの投げた紙飛行機の上に思い出の羽のアクセサリーを重ねていったのは、どういう意味だったのでしょう。
過去との決別なのか、それとも力尽きようとするノアへの手向けなのか。
前進とも諦めともつかない終わり方にもやもやした思いが残ります。


【総合感想】
■7年ぶりに見返してみて…
・放送が2006年4月~2007年3月なので、約7年ぶりに見返したことになります。
当時も強烈な印象だったのですが今見てもすごいですね。色褪せないオリジナリティがあります、
デュマス、レベッカと序盤の展開の早さとクソジジイ、サラ、クソジジイと終盤の壮絶さは本当にすごいです。

・唯一記憶と違ったのは中盤でした。
25話の国際ジャウスト開幕から39話のヒュー退場までのネオトピア編がすんごい長かったんですね。
終盤のキースピ争奪戦やタスク幹部が駆け足だったので、冗長な分をそちらに数話まわしてほしかったです。

■牙の魅力:一体感
・作品全体としては作品全体通しての一体感が好きです。
こういうバイオレンスな世界だからこういう破天荒な登場人物が育って、そういう人物が集まったからこんなストーリー展開になったのだと納得がいく説得力があります。
登場人物も舞台となる世界もストーリー展開も、どこか一つだけを変えても全体の流れは変えられない構成になっていて、有機的なつながりを感じます。言い換えるなら「歴史」という感じでしょうかね。
作中の展開を見て「なんでこうなった?」と思ったときに原因を一言で語れない入り組んだ構造はリアリティがあって、とても魅力的だと思います。

■ゼッド
・一番好きなキャラ、と言われたらやはり主人公のゼッドです。
品行方正で正義感に燃える…なんてヒーロー像からは程遠い野蛮で粗野なキャラですが、見てると不思議とヒーローに見えてきます。
私はゼッドの基礎が「憤り」にあることが好きです。
悪役を倒そうとするのも正義感という論理ではなく、「人を苦しめることが気に入らないから」という感情にもとづいてのことです。私はこの点にすごく生々しさを感じます。
「正義」なんて論理で実際に動ける人は少ないと思います。でも理由が感情ならわかります。
その点でゼッドはとても信頼できる根拠で動いていて安心できます。
「争いを止める」など大きな志も基本的に自分の経験=過去の感情にもとづいています。
それでいてある程度の論理的思考も持っているので、行き当たりばったりにならないのもポイントですね。

■お前を愛し、お前を憎む
・牙で欠かせないキャラと言えば、ジーコことクソジジイです。
序盤から散々偉そうに振る舞っておいて、いざとなったらまるで役に立たない見事な役立たず。
馬脚を現しても態度は変わらず、話が進むに連れて明らかになっていく過去の悪行、そして加速していくクズっぷり。
クズさが堂に入っていて感心してしまいます。根っからのクズとはジーコのためにある言葉だと思います。

・終盤クズさは凄まじく、間違いなく牙で一番嫌われたキャラクターでしょう。
私も大嫌いです。一番いなくなってほしいキャラクターと聞かれたら即答します。
でも一番牙に欠かせないキャラクターであるとも思っています。ジーコなくして牙という作品はあり得なかったでしょう。
最後のカタルシスもゼッドがタスカーから解放されることの説得力も全てジーコのおかげです。
1話でも流れたサラの台詞「私はお前を愛し、お前を憎む!」という言葉のように、私はクソジジイを愛し、そして憎んでいるのでしょう。
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